マークアップエンジニアも幸せ探し(中編)

前回のあらすじ

さて、中編です。(前編はこちら

…あれ?後編じゃなかったっけ?という皆さん。その通りです。

正直、書きながら結論がどんどん見えなくなってきてしまって、ただ無駄に長くなる一方なのです。なんか、大学時代の卒論を思い出した…。

とりあえず、前編の要点をまとめておきます。

  • 「コーダー」「オペレーター」はどうしても受け身になりがち
  • でも、末端の工程だからこそ、それ以前の工程の粗が沢山見えてくる
  • 上の工程に物申すべき!
  • 上の工程に物申せるように、守備範囲をどんどん広げてしまう!理論武装、みたいな。
  • 会社的に動かないのなら、自分でやってしまう
  • 上の工程に意識的であることで、案件の目的とか意義が分かって、仕事に対するモチベーションが変わるかも
  • …でもここまでしても「コーダー」「オペレーター」なのはどうなの?邪魔じゃない?

というわけで、まずは「マークアップエンジニア」の話から。

…という訳で、マークアップエンジニアの話

マークアップエンジニア、ってどういう仕事なのかというと、bAの募集要項にさすがに簡潔にまとめられてます。(ちなみにbAでは、マークアップエンジニアではなく、マークアップデザインエンジニアに変わってます)

マークアップデザインエンジニア

HTML/XHTMLのマークアップ、情報設計および文書構造のデザイン、エンタープライズCMSのテンプレート設計・開発、CSSの設計およびコーディング、JavaScriptのライブラリ設計・開発・実装。以下の技術に関する研究・設計・開発:XMLをはじめとする多様なウェブフロントエンド技術全般、アクセシビリティ、ユーザビリティ、各種オーサリングツールや開発プラットフォーム。経験年数不問。

[bA] 募集要項

「設計」「開発」「研究」って言葉が並んでいる時点で、「コーダー」「オペレーター」とはだいぶ印象が異なります。単純にコーディングするだけではないということがハッキリ分かります。作業工程の最後の辺りに位置することには、変わりなさそうですが、受身的な印象がありません。何より、「以下の技術に関する研究・設計・開発:」というところに惹かれます。この研究・設計・開発、やりたいっすよ。超やりたいっすよ。

…と、これだと「bA入りたい!」って話で終わってしまいますが、「コーダー」「オペレーター」とは異なり、工程の上流、設計といったものがちゃんと視野に入っているのが「マークアップエンジニア」なのかなと。Webオペレーター時代の自分にとっては、憧れの肩書きでした。実際、去年の年始の挨拶で、こんなことを言ってます。自分。

Webのお仕事ですが、今年は「脱コーダー」「脱Webオペレーター」で行きたいと思ってます。…っていっても、いきなりディレクターとかデザイナーに転身する訳でもなく、今の方向をもっと突き詰めて行きたいなぁと。最近、耳にする「マークアップエンジニア」だとか「インフォメーションアーキテクチャー」とか、そういう、“ただの作業”に終わらない、Webの本質的なところを考えられる人になりたいと思ってます。(necoze LOG2 [ネコゼログログ] | 謹賀新年

「人は肩書きなのか」問題

で、ここで「肩書きってそもそも何よ」という話。

「マークアップエンジニアテーブル」の中で、bAの方々が繰り返しおっしゃっていたのは、

職種は具体的にやることを明確にする場合のためのものであり、基本は全員Webデザイナー

そのスキルを持っている人が適切に工程に配置されれば良いので、マークアップエンジニアがプロジェクトマネジメントをしたりIAを担当したりもする

自分の持つスキルの中で最もとんがったものが職種

個人的にこのセミナーでの一番の収穫はこれです。職種というのは、その人の一番売りとするスキルを分かりやすく表したものだという考え方。何もそれに縛られる必要はなくて、それ以外に持つスキルもワークフローの中で適切に発揮されるべきだと。

自分も、やりたいことを手当り次第にやって、結果「コーダーとかオペレーターとか、肩書き邪魔だなー」と思ってた訳ですけど、それは肩書きを「自分の仕事内容を定義づける」というか「限定する」って印象を持っていたからなのかもしれないです。自分はこれしかやらない、これしかできない、って予防線を張ってしまうというか。

だから、肩書きだけで自分を見るとか、人を見るって言うのは結構危険なのかなとも思います。長谷川恭久さんのpodcastでも、以前、「人は肩書きになりたいんじゃない、“自分”になりたいんだ」ということをおっしゃっていて(Inflame Casting: IC #101 July 19 2007)、ホント、その通りだなと思います。世間に自分の売りを分かりやすく表現する為の方法が、肩書きであって、自分はそこから自由であっていいんじゃないかと。

だから、自分は「マークアップエンジニア」でありたいと同時に、それ以上の何かになりたい、って思ってたりします。

「自分の代わりはいくらでもいる」 問題

急に話は変わりますが、以前勤めていた職場は、自分を含めスタッフの半数近くが派遣社員でした。結構頻繁に、スタッフは入れ替わっていた気がします。

これは別にこの職場に限らない話で、昔、派遣のコーディネーターの方から聞いた話だと、大手の制作会社でもこういう感じの所が多いとか多くないとか。…いや、具体的に会社名言われて、ええ?あの会社が?…って感じだったんですが(謎)。よっぽど派遣の方が、名の知れた会社に潜入できるのかもしれないなー、と。そんな会社に必ず行ける保証はどこにも無いですけど。でも、新卒のころ、必死こいて受けまくってた制作会社に、派遣であっさりと行ける可能性があると聞かされた時は、なんか遠回りしたのかなー、と思ってしまった訳です。

…それはさておき、派遣のスタッフが半数近くを占める職場で、「弊社の優秀なスタッフが〜」とか「信頼の制作体制」とか、そういうキャッチコピーを打たれても、「でも、結局派遣頼みじゃん」と思ってしまうわけです。その会社のノウハウを徹底的に叩き込まれたエリート集団、みたいなイメージだけど、そうじゃないじゃん、と。そうなると、会社はタダの入れ物に過ぎなくならない?、と。その会社のアイデンティティとかオリジナリティって何だろうなー、と思ってしまう訳です。

でも、これは自分を含めたスタッフ側にも言える問題だったりします。自分がその会社との契約を切ることになると結構すぐ、自分の後継のスタッフが決まってます。「自分って結構会社から頼りにされてるのかもなー」ぐらいに思っていたとしても、あっさりと後継の人は決まります。…あれ?自分の代わりなんていくらでもいるの?……いや、いくらでもいるんです。たぶん。

例えば、今、自分は「マークアップエンジニア」って肩書きで、マークアップやらCSSの設計やらで会社に雇われてますけど、自分より若くて、XHTMLやCSSに精通してて、すごいモチベーション高い奴なんか、たぶん、うようよいるんですよ。CSS Niteとかいろんなイベント参加してきた実感として。だから、会社には面談とかあるたびに「自分の代わりはいくらでもいますから」って言ってしまいますし。

結局、何が言いたいかというと、「他には替えられない自分になりたい」ってことなんですよ。肩書き単位で見れば、持ってるスキルとか経験から判断して、自分と同じような人と入れ替えられるのかもしれないけど、それ以上の何かを身につけておきたいなと。そう、さっきの肩書きの話です。

「刺激が無い」問題

「マークアップエンジニアテーブル」のパネルディスカッションで、出演者(=bAのマークアップエンジニアの皆さん)に「いつ、どうやって勉強してますか」という類いの質問があったのですが、その回答は一律「普段、仕事をしていくなかで勉強してるつもりだから、特に勉強する為の時間は設けていない」というものでした。

考えてみれば、自分の意図しない場面で、あたらしい技術を身につけなきゃいけない必要迫られることがよくあります。ブラウザの未知のバグだったり、触ったことの無いCMSのテンプレートだったり。エラーを起こしてるJavaScriptだったり。仕事して行く中で、どうしてもそういう場面にはよく遭遇すると思うんです。自分が始めた頃なんかは、全てが知らないことだらけなので、殆どの作業がそんな状況でした。1年で、メモ書きがノート5冊分くらいになったくらいです。

仕事が忙しい中で、勉強する時間を確保するのは、なかなか難しいです。この本をいつまでに読もう!とか、「あとで読む」に残してたページを読もうとか、思っていても忙しいことを良いことに、いつまで経っても進まなかったりします。でも、その忙しい仕事の中から、新しく得た知識とか技術に意識的であれば、それもまた勉強になるって訳です。

ただ、毎日同じ作業の繰り返し、という状況ではどうでしょう。極端な話、自分が以前いた職場では、担当してるサイトが固定されていたので、毎週同じような更新を繰り返してました。だから、そこから学ぶことっていうのは、ほとんどなくて、「メモ書きがノート5冊分」どころか5ページもいかないんじゃないかという状況。ここから学び取れることといったら、「この作業をどれだけ早く効率的にできるか」とか「そもそもこの作業は必要なのか」とかそういうことくらいです。

「Webは別に好きじゃないし」問題

Webオペレーター時代の自分は刺激の無い状況に危機感を抱いてました。日々の仕事の中の経験から学ぶことが多いと思っていたので、それが無いとなると死活問題。こうしてるうちに、自分の同業者から差を付けられてる!気がする!以前の職場では、CSSレイアウトを一切していなかったので、ブラウザのバグに悩まされることが無かったが故に、経験値が圧倒的に不足してた、ということもありました。とにかく、仕事に刺激が足りない!仕事に刺激を!

ここで問題なのが、今いる職場を刺激のあるものにするのか、それとも刺激のある職場に移籍するのか、ってことです。

「刺激のある職場に移籍」が手っ取り早いのですが、「今いる職場を刺激のあるものにする」っていうのも、周りの環境を自分の手で変える面白みがあるかもしれません。

が!ここで問題なのが、「別に刺激とかいらないじゃん」って人がいることなんです。

自分みたいに、毎日LDRでfeedをチェックしたり、はてブにブックマークしたり、twitterしたり、flickrに写真上げたり、…年中Webと戯れてる(?)Web大好きな人がいる一方、
全くそうじゃない人もいます。mixiをやる程度で、「Webは仕事」だと線を引いてしまってる人。RSSもソーシャルブックマークもチェックしてないし、情報源はYahoo!トピックスだという人。
仕事とプライベートをはっきり分けてるか、分けてないかの違い、とも言えるかもしれません。

そんなWebに興味が無くて、仕事が成り立つのかというと、前述のように、日々の仕事が固定化されてる場合は、それでどうにかなってしまいます。長い視点で考えれば、それで良いとは言えないですけど。

Webの面白さとか楽しさとかに気付いてもらえるように、MLに見つけてきたサイトの紹介を流したりとか、ミーティングで最近流行ってるWebサービスの話をしてみたりとか、とにかくこっちに振り向いてもらうために、手を尽くすしか無いです。周りが変わるのを待つよりかはだいぶましです。変わってくれる保証なんて無いですから。

良く分からない奴になりたい

前編で、「自分の守備範囲をどんどん広げる」って話をしたんですけど、じゃあ、今の自分はどうなのかという話。

最近はコーディングばっかりやってますけど、極端な話、DreamWeaverを殆ど開かずに、エクセルばっかりいじってた時期とかもあります。ミーティングを仕切ってみたり、議事録書いてみたり、資料作ってみたり、企画のネタ集めたり、セミナーの報告まとめたり………あれ?

今いる会社って、実は「マークアップエンジニア」って肩書きの人間は僕1人しかいません。あとは、デザイナーとディレクターが20人くらい。もともとはデザイナーが、コーディングとかの工程までやってた会社なんですよ。で、CSSレイアウトでかつ大型の案件だったりすると、個人プレーでは立ち行かなくなるところがあって、で、雇われたのが自分、って訳です。

だから会社的には、初めは「マークアップエンジニア」って肩書きはもらいつつも、どう仕事を振ったらいいものか、自分も身の振り方が分からない、って状況があり、結局ひたすらコーディングを手伝うっていう、コーダー的な立ち位置に落ち着いてたんです。ただ、徐々に、上の工程に首を突っ込めるようになってきて、大きい案件の制作進行を仕切ってみたり、立ち上げから関わってみたりと、テンプレートを作ってみたり。状況は変わってきたかなと。会社的に、「デザイナー」「コーダー」みたいに、はっきり分業している訳じゃないので、「デザイナー」さん向けに、社内でCSSの勉強会開いたりもしてます。

もう、コーディングだけじゃなくて、何でもやりたい。会社には“成果物の「目に見えないクオリティ」を向上させる立場になりたい”って良く言っていて、そのためなら、気になるものは何でも身に付けてみたい。

なかなか食わず嫌いでいた、JavaScriptとかPHPとか、プログラムにも首を突っ込んでみたい。マークアップを真剣に考えれば、IAも勉強しておきたい。

「マークアップエンジニア」ってものを軸に、自分にしかないものを作っていきたい、そう思ってます。

…これ、本当に結論に辿り着くの?

次回、後編、というか完結編に続きます!たぶん!

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中の人、ご紹介

制作会社でマークアップ芸人、改め、うっかりIA(自称)をやってます。CSSとかHTMLとかでもご飯食べてます。気が弱くて省スペース設計。でも小言が多い、環境に優しくない32歳です。

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